こうすればスラスラ書ける! プロライターが教えるマル秘文章作成術
著者:松永 弥生 更新日:2014.2.11 |
「自分の本を出したい!」と初めて思い、いざ原稿を書き始めようとすると……。
「いつもならスラスラと書けるのに、なぜか書きづらい」
「書きたいことがあるのに、どう書いていいか分からない」
「書けたけど、これで読者に伝わるかな?」
と、悩む方が大勢いらっしゃいます。
今、あなたが悩んでいらっしゃるのなら、それはいい本ができる兆しです! あなたは、「いい文章を書きたいなぁ」と「読者に届く本にしたいな」と真剣に考えているからこそ悩んでいるのです。
そうはいっても、悩んでばかりで原稿が進まないのでは困りますね。ここでは、あなたが原稿を書くためのちょっとしたコツをお伝えします。
■話し掛けるように書いてみましょう!
最初から、カンペキな原稿を目指すのは、止めましょう。まずは気楽に、書きたいことを自由に書いてみることをお勧めします。
あなたの仲のいい友人や仕事仲間、お客様の中から、これから出版する本を読んでほしい方を思い浮かべてください。その方に話し掛けるようなつもりで、文章を書いてみましょう。
「どこから話して(書いて)いいか分からない」という場合は、伝えたいことのキーワードを思いつくままに書き出してみてください。柱になるキーワードを5〜10個。それぞれに関係するキーワードを4〜5個。柱のキーワードは、章になります。章の中にあるキーワードは、小見出しです。
原稿を書くときに、最初から順番に書く必要はありません。
並んだキーワードを見て、あなたが一番言いたいところ、書きやすいところから文章を書いていきましょう。一度に長文を書こうとするとどうしていいか分からなくなってしまいますが、こうやって分割してしまえば、1つのキーワードについて4〜600字書けばいいことが分かります。
そのくらいなら、気軽に書けますね!
一通り書き終えたら、キーワードをどの順番に並べたら、あなたの話が読者に伝わりやすくなりそうか、検討しましょう。キーワードを並べ替えると、文章の流れを整理する必要が出てきますので、全体を読み直して調整をします。
■読みやすい文章を書く
これから出版する本は、あなたの考えや気持ち、知識や情報を読者に伝えてくれます。読者に正しく思いを伝えるためには、読みやすく分かりやすい文章になっている必要があります。
ちょっとしたポイントを押さえるだけで、読みやすく分かりやすい文章になります。
1)漢字をなるべく使わない
ワープロソフトを使っていて気をつけたいことは、ついつい漢字を多用してしまうことです。漢字が多い文は硬く感じ、読みにくくなります。固有名詞や動詞は漢字表記、連体詞、助動詞、助詞、形容名詞はひらがなが基本とするのが目安になります。
例)
そんな事は無いだろうが → そんなことはないだろうが
分かっている筈の事でも → 分かっているはずのことでも
既に終わった → すでに終わった
様々なトラブルが → さまざまなトラブルが
出来る限り → できる限り
と言う事が有ります → ということがあります
2)文章は短く書く
1つの文章は20文字〜50文字を目安に、短く書きます。60文字を超えると少し長い、80文字以上では、かなり長い印象です。長い文章を正確に書くのは難しいものです。また、読者にも意味が取りづらくなります。
例)
原文:107文字
8年間あれば、ラーメンをもっとおいしく作るための努力やサイドメニューを充実させるなどの工夫をする時間がありますし、立地が悪かったとしても、口コミやホームページなどでお店をたくさんの人に知ってもらえる時間が稼げます。
リライト:49文字+47文字
8年間あれば、ラーメンをもっとおいしく作るための努力やサイドメニューを充実させるなど工夫できます。立地が悪かったとしても、口コミやホームページでお店をたくさんの人に知ってもらう時間が稼げます。
3)1文1意の法則
2)と関連した基本で、1文1意の法則があります。1つの文章では言いたいことを1つだけ伝える。これを心がけると、読みやすい文章になります。
そのためには、「〜〜〜ですが、〜〜」「〜〜〜し、〜〜」のような続け方を避けます。
例)
原文:85文字
これまでお世話になった方々に恩返しをさせていただきたいですし、また、後輩経営者の方が現れた時に、私がして頂いたことと同じことをしていけるようになっておきたいとも思います。
リライト:30文字+54文字
これまでお世話になった方々に恩返しをさせていただきたいです。また、後輩経営者の方が現れた時に、私がして頂いたことと同じことをしていけるようになっておきたいとも思います。
3)段落の作り方
段落は、文章の集まりです。段落ごとに大きな意味(主張)をして、次の意味に変わるときに改行を入れます。ときには1つの文章だけで段落を構成することもありますが、5〜6個の文章で段落を構成することが基本です。
■丁寧に推敲しましょう
さぁ、原稿ができました!
けれど、そのまま出版に回すのは、キケンです。文章の流れを整えた後に、もう一度、丁寧に原稿をチェックしてください
まずは、原稿執筆の基本を押さえておきましょう
1)行頭は1字空ける
段落の始まりは1文字下げます。これは縦書きでも横書きでも同じです。1文字下げることで段落が変わったことが明確になります。
2)段落
単語が集まって文章になり、文章が集まって段落になります。1行ごとに改行せずに、意味のまとまりを意識して改行を入れましょう。
3)文体の統一
文章の目的に応じて、「です/ます」調、「だ/である」調のどちらかに統一します。
「だ/である」調は、小説や論文、ニュースに使用されます。解説文、実用書、一般雑誌はどちらでもOKですが、「です/ます」調の方が丁寧な印象を与えます。
4)記号の使い方
ブログには記号を我流で使っている例が多数見受けられます。
特に多いものを上げます。
・三点リーダー
「と思います……」のようなときに、中黒を「・」を半角にして並べて使っている方がいらっしゃいます。正しくは、三点リーダと呼ばれる記号「…」を使います。「てん」または「さんてん」を変換すると出てきます。使うときは、「……」と2個続けるのが慣習です。
・山括弧(やまかっこ)
山括弧を数学記号のだいなりしょうなり<>で代用する方が多いです。キーボードのひらがな「ね」と「る」に記されている記号は、数学記号のだいなりしょうなりです。
山括弧〈〉は、「かっこ」または「やまかっこ」で変換すれば出てきます。印刷したときに、ヤマの角度が違います。
■書籍として文章を読み直す
最初に「話し掛けるように文章を書きましょう」と伝えました。初めて本を出そうとする方は、どうしても気が張ってしまいマジメで堅苦しい文章になってしまう傾向にあります。
誰かに語りかけるようにすると、ほどよく力が抜けていい文章になります。ただし、そのまま出版してしまうと、書籍としての説得力が少し不足してしまいます
最後にもう一度チェックしておきましょう。
1)話言葉を避ける
話し言葉を使うとくだけた言い回しとなります。親しみやすい反面、書籍にはそぐわない場合も多いので気をつけましょう。無意識に使っていることもあるので、推敲の段階で注意が必要です。
例)
好きじゃない → 好きではない
映画みたいな → 映画のような
たくさんの思い出 → 多くの思い出
そんな感じで進めていく → そのように進めていく
2)語尾を意識する
ブログやメルマガなどでは、「〜〜でしょう」「〜〜ではありませんか」「〜〜と思います」というように、語尾を柔らかく結ぶ傾向があります。書籍でこうした言い回しを多用すると、説得力に欠けます。自分の主張すべきことは言い切りましょう。
多用を避けたい言い回し
〜〜でしょう。〜〜なのです。〜〜少なくありません。〜〜と思われます。〜〜みたいです。〜〜のようです。
3)情報を具体的に書く
多い・少ない、近い・遠い、安い・高いは個人の感覚によるものなので、読者と意識を共有できるように具体的な記述を心がけます。
例)
川が急に深くなった → 川が急に大人でも足がつかないくらい深くなった
駅に近い喫茶店 → 駅を出てすぐ右にある喫茶店
多数の人が集まった =>2000人が集まった
4)日付を客観的に記述する
読者がいつ文章を読んでいるのかは、分かりません。情報を共有できるような記述をします。
例)
今年の8月に → 2014年8月に
10年前のことだが → 1998年のことだが
私が二十歳の頃に → 1985年、私が二十歳の時に
先日の新聞に → 2013年9月11日の朝日新聞朝刊に
いかがでしょう?
「あ、書けそうな気がする!」と思っていただけたら嬉しいです。
本を出したいと思っていらっしゃるあなたの中には、たくさんの思いと熱意が詰まっているでしょう。その気持ちを大切に取り出して、文字にしてください
難しい言い回しや、高度なレトリックを使う必要はありません。
あなた自身の言葉で、読者の方へ語りかけましょう。あなたの人柄が伝わる文章ならば、必ず読者の心に届きます。
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